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馬と鹿の咄

第11章 タバコに火をつけてみよう

【タバコに火をつけてみよう】


 個室メタンガス爆破事件からしばらくした頃、店に谷くん(仮名)という若い技術者が入ってきまして、ちょっとした笑い話で、やまさんが入ったトイレが、発火した話をした。


 実は、2回これが起こってるんだよね。


 やまさんはなるべく、店には迷惑かけないように、駅まで行って大便してたんだけど、やっぱ我慢できないことあるじゃない。


 またクソ迷惑なことに、大食漢で1日に4回大便するんだから、たまったもんじゃない。


 その都度、駅までトイレに行く。


 そのせいか、駅のトイレに今まで無かった芳香剤が、置かれるようになったからね。


 で、たまに駅まで我慢できずに、店のトイレを使う。


 やまさんが入る。いい頃になると、トイレの内側からノックする音が聞こえる。


 これ、やまさんの合図で、今から消臭するから、少し開けてくれって意味。


 これがなると、表と裏の扉を全開にする。密室を作っては危険だから。


 やまさんが、5センチほどトイレのドアを開ける。


 その度に、裏の犬が鳴くんだ。強烈な時は、繋がれてる鎖の音と、「クワ〜〜ァ〜ン」て救いを求める悲鳴が聞こえてくる。


 やまさんが消臭用に、マッチに火をつける。




 一瞬、バックドラフトが起きたんだ。



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