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馬と鹿の咄

第12章 伸ちゃんの話

【伸ちゃんの話】

 すっとぼけたキャラを持つ伸ちゃんですが、小学生の頃、先生から、将来の夢について、作文を書けと言われ、意味がわからないと、手を上げて質問していた。


「将来の夢って、なにをかくんですか?」


「大人になったら、なにになりたいかを書けばいいの。いろいろあるでしょ」


「将来にそんな夢を見るんですか?」


「えっ?」


 将来に、自分が見る夢を語れと思ったらしい。


 そんなもの書けるか!!


 先生が言い換えた。


「将来の夢っていうのは、大人になったら、どんな仕事をしたいのか、どんなことをしたいのか、それを書いてほしいの」


 わかったか、わかってないのか、伸ちゃんは座った。


 この時、僕の作文には「マジシャンになりたい」て、書きました。


 自分が将来、なにになりたいのかわからない伸ちゃん。


「おもちゃ屋とかどう?」と言ったら「おもちゃ売ったら、自分のじゃなくなる」と言った。


 商売は無理なんだな。


 見た感じ、簡単そうな仕事をしたいって、書いたらどうだろうと言ってやった。



 伸ちゃんが書いたのは……




「リヤカー引いて、空き缶を集めたい」



 それを将来の夢にするのは、もう終わってるぞ。



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