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馬と鹿の咄

第3章 やまさん

【やまさん】

 私より7つ上の先輩の、理容師さんです。


 実は元ヤクザ屋さんで、中卒で、任侠映画を見て感銘を受け、17歳で小さな暴力団に入ったんだが、現実と映画が違うと気が付き、暴力事件を起こしてから刑務所に。


 その中で理容の仕事の見習いをすることになり、出所してから足を洗い、理容学校に。それから腕を身に付けて、大阪の大型理容店舗の店長になった。


 体に彫った刺青を消したいために、お金を貯めたが、職人としての雇われ理容師の給料ってのは安い。


 だから、ギャンブルに手を出した。


「俺はもう、ヤクザとの縁を切る」と言って、ヤクザが運営してる野球賭博やってたんだから。


 ここからは、やまさん本人から聞いた話だが、野球賭博で負けて、暴力団から300万の借金を抱え、それが警察にバレて、また逮捕された。


 前科があるわけで、警察も、やまさんが暴力団だってのがわかったんだな。


 でも、すでにやまさんは、足を洗ってたんだけど、取り調べで「どこの組に所属してた」と聞かれて、なぜか、いま勤めている店の名前出したら、そこの店に一斉捜査が入ったらしい。


 店はまったく関係ないし……。


 てか、これ、警察もバカ?



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