『甘い蜜』
第28章 甘い蜜 28
「神埼、先生睨んでたぞ…?」
休み時間になり、ざわざわと騒がしくなりつつあるクラスの中…
「…うるさい、倉本。」
机に顔を伏せたまま俺は答える。
授業なんて受ける気がしないんだよ。
それというのも…
「アイツが悪いッ!」
「うわっ…、ビックリした。」
いきなり飛び起きて叫んだ俺に倉本が目をキョトンとさせていた。
「アイツ…って?」
倉本はホッと胸を撫で下ろした後、首を傾げながら聞いてきて…
「…口に出したくない。」
「口にしたくないほど、嫌いな奴なのか…?」
果たして、名前を口にするのも嫌なほど、嫌いなのだろうか…?
俺は一体何に対してムカついているのだろう…。