『甘い蜜』
第36章 甘い蜜 36
「…何ですか?」
俺は目の前で背を向けたまま何も話そうとしない生徒会長に向かって苛立ちを感じていた。
「お前さ…、ヤキモチ妬いてるのか?」
「…は?」
やっとこっちを見たかと思ったら…何を、言い出すんだ。
「あの日、一緒にいた奴は…弟だから。」
少しだけ吹いた風が、生徒会長の髪を揺らし…不覚ながらも胸が高鳴った気がした。
「…聞いて、ないし。」
何なんだ、この胸の高鳴りは…。
しかも…
弟だと聞いた瞬間に、胸でもやもやしていたモノが消えていくような…。
「お前、俺の事好きだろ…。」
そんな真面目な顔をするなよ…
「…違う。」
いつもみたいにふざけたり、からかったり…してくれ。
それなら上手くかわせる事が出来るから…。