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第1章 welcome
「止血!!ホータイ!!」
そう言いながら木兎は赤葦の人差し指だけでなく腕ごと包帯でぐるぐる巻きにしていく。
「木兎さん、もう大丈夫です。」
「本当!?赤葦死なない!?」
呆れた、でも愛しいものを見る目で慌てた様子の木兎に笑いかける。木兎は心底よかったというほっとした表情になって赤葦を抱き締める。
「…おかえりなさい。木兎さん。」
「ただいま!赤葦!!」
しばらく経っても木兎は赤葦に抱きついたままで動かない。現役スポーツ選手と一般人の力の差は歴然としており、赤葦は木兎を引き剥がせない。
「(ゴリラめ…)木兎さ…」
「赤葦、エッチしたい。」
赤葦もさっきから思っていた。
「…木兎の光太郎くんは元気ですね…。」
「赤葦のエッチ!」
「それあんたがいいますか。
…というか、俺今そんなことしたら失血死します。」
そう言いながら赤葦は木兎の視界に包帯でぐるぐる巻きになった右手を入れる。
木兎は赤葦の背中から名残惜しそうに腕を離しながらしょぼくれに入る。
「お風呂、いれてます。
入ってきてください。
お肉焼いて待ってますね」
「肉!あかーしありがとう!大好き!愛してる!」
木兎は赤葦にそう言うと再び赤葦に抱きつくと、んーまっ!と言いながら赤葦の顔中にキスをする。
そのまま木兎は鞄を放り投げて風呂場に駆け込む。
赤葦はそれを見ながら鞄を拾い上げて洗濯をするため木兎の後を追う。
半ば引きずりながら木兎の鞄を洗濯機の近くまで持ってきた赤葦。鞄を開けると飛び出す飛び出さんばかりの洗濯物の数々。
あまりにも無造作に詰め込まれた洗濯物の数々に赤葦は思わずため息をつくが、その後の呼吸で生き返る。
…木兎さんの匂い。
それは想像の木兎の匂いよりもはるかに濃く、赤葦を一呼吸で興奮させるのに十分なものだった。
赤葦は思わず一番上にあったタオルを手に取り鼻に近づける。
そして思いっきり鼻から息を吸う。
木兎さんだ…。
しばらくそのまま匂いを嗅いでいたが、木兎が風呂につかる音で我に帰り、洗濯物を洗濯機に入れる作業を開始した。