
はしたない女の子は好きですか?
第5章 ▼たまには乱れてどうでしょう
明日が休みでよかった。
今日遅くなっても、明日少し遅くまで寝てられるし。
人が少なくなったデスクで、なんだかとても心細くなる。
メッセージの受信を伝えるべく画面を光らせているスマホに触れる。
『わかった。無理しない程度に頑張ってね』
弘樹…。
労る言葉と可愛いスタンプだ。
少し心が癒され、思わず顔がにやけてしまう。
私はハートのついたスタンプを選ぶと、それを弘樹に送って仕事にとりかかった。
けっきょく全部片付いたのは10時頃で、家につく頃には11時になっていた。
もう住んで2年ほどのマンションは、朝はとてもにぎやかなのに、こんなに遅いとひっそりと静まり返っている。
目立った物音さえもしない。
私はエレベーターに乗り込んで3のボタンを押し込む。
ふわっとした感覚はいつまでたっても嫌いだ。
エレベーターが止まって降りると、我が家である309の部屋の前で足を止め、鍵を差し込んだ。
「あ、開いてる」
