
はしたない女の子は好きですか?
第2章 ▼本当の本当は
「柏木」
「は、はいっ」
近くから声がする。肩がビクッと震える。先輩の声が近い。
「ストレスがたまるのは分かるけど、発散方法は考えたほうがいいぞ?」
「え………! な、なんのことですか」
私は目の前からフイっと視線をそらす。
先輩の吐息がふっと首筋にかかる。
なんで私、今日にかぎって髪を結んでいるんだろう。うなじ丸出しで、先輩の吐息がくすぐったい。
先輩が私の肩を引く、私の体は傾いて先輩の体へと沈み込む。その私の体を先輩はぎゅっと抱きしめる。
「な、なっ…?!」
な、なんだこれなんだこれ。男の人の腕が私を抱きしめている。
いい匂いに包まれてる。
熱い吐息が吹きかかる。
思考が止まりそうだ。
「せ、先輩!どうしたんですか…」
「んー。柏木のストレス発散の手伝いしようと思って」
「ストレスって、そんなのないですよ。あはは」
「嘘ついてるでしょ」
吐息が耳に吹きかかって、私は小さくうなってしまう。
私がそこを苦手と把握したのか、先輩は唇を私の耳元ギリギリまで近づけ、時折軽く耳にキスをする。
「はっ、あ……」
「声出てきたな。耳が好きなのか?」
「ちが、違います。やめてください」
「柏木が嘘つくからかな」
「嘘なんて私…」
「本当は柏木って、ストレス発散にエロいことしてるっしょ」
