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はしたない女の子は好きですか?

第2章 ▼本当の本当は


「どこに行ってたんですか?」

そんなことどうでもいいのに。本当なら抗議の声をあげるところなのに。
私は素朴な疑問を先輩にぶつけていた。

先輩は微笑んで私の頬を撫でる。

「手洗ったり口ゆすいだりしてた。キスするにしても触られるにしても、柏木気にするかな?って」

つくづく細かいところに気をかけれる人だ。
部活を引退する前もそうだった。
気遣い上手で、優しくて、みんなの憧れで…。

って、今こんなことは関係ないや。

先輩は私の両手の拘束をほどき、手首に軽くキスをする。

「柏木可愛かった」

先輩は愛しそうに私の頬を撫でる。そして愛でるように微笑んでくれる。
嫌がる私をしばっていやらしいことを沢山してきた人とは思えない。

でも、その先輩の仕草や表情にときめいてしまっている私も私だ。

「少しはストレス発散になったか?」
「え、あ…」

そうだ。
先輩はそういう経緯で私にあんなことをし始めたんだ。
そんなことをすっかり忘れて、私は先輩に溺れてしまっていた。

「ま、反応を見る限り聞くまでもないか」
「そんな、私…」
「柏木」

先輩が私の腕をつかんで、まっすぐに目を見てくる。
先輩の前髪が影を落とす。
先輩の凛々しい表情がそこにある。

私の心臓はときめいていた。

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