
はしたない女の子は好きですか?
第1章 ▼たまらないのはこっちだ。
「由美のとこえっちまだなの?」
「じつはね…」
「付き合って長くないっけ?」
「そうだけど…」
わたしはストローでカラカラとグラスの中の氷をかき回した。
周りについた水滴がたれては小さな水たまりを作る。
「1年くらいじゃないっけ?」
「そうだよ」
「私のとこなんて2ヵ月くらいでしちゃったよ」
「私もそんくらいが健全だと思うんだけど…」
私の解釈がおかしいのだろうか。
マンガの中のカップルたちは、わりとすぐしちゃってるイメージがあるのだけど。
それに今や高校生だってしてるし。
目の前の友人の真実だって、彼氏とは付き合って2ヵ月ほどでいたしている。
私なんて社会人の彼と1年なんだけどな…
「焦ることないよって言いたいけど、1年でまだしてないのもなぁ…それに社会人だし」
「私に魅力がないのかな…」
「いやいや、それはないって。あれじゃない? じつはホモとか」
「なっ?!」
思わずジュースを吹き出しそうになる。
真実はけたけたと笑うと、ケーキにフォークをつきたてて口へと運んだ。
「ホモなら私と付き合わないんじゃ…」
「女の子と付き合ってみたら、女より男の方が…ってなったとか。まぁ冗談だから気にしないでね」
ホモ…。
その2文字がぐるぐると頭を駆け巡る。
そうだとしたらしてくれないのは納得だ。
真実の言葉が冗談にきこえない。
もしかしたらもう別れたいとか思ってるのかな、でも…。
私の暗そうな表情に気づいたのか、真実はわたわたとする。
「じょ、冗談だってば。こんな可愛い胸がおっきい彼女がいたら男になんて目覚めないって!」
「そんなことないってば!」
「あ、そ、それよりさ。由美と彼氏の馴れ初めってどんなだったけ?」
「え、馴れ初め…?」
