
はしたない女の子は好きですか?
第3章 ▼もっとみたい
「あぁ、あの俳優さんだったんだ」
「あ、あぁ…本当だね」
もうエンドロールだ。
優しいBGMにのせて、沢山の名前の羅列が流れる。
ひーくんは映画の内容に満足したようで、満足そうな顔をしていた。
そしてあとひとつ残っていたチョコをつまんで口に含む。
私はというと、このあとのことで頭がいっぱいだ。
やだなぁ、やましいことで頭がいっぱいになるなんて…。こんなのただのはしたない彼女じゃん。あーーもーー。
「梨奈、映画おわったよ」
「あ、うん」
私はDVDのディスクを出してしまうと、テレビの電源を切った。
その途端に部屋が驚くほど静かになる。
何気なくさっきと同じようにひーくんの隣に来てみたけど、なんかすごく緊張する。
テレビの電源を切ると、本当にこの部屋って音を出しているものがなにもない。
時計だってデジタル時計だから、指針の動く音さえない。
なんとなくお互いが緊張しているのがわかる。なんとなく話だしにくい雰囲気だし、いまこの家に2人だということを痛いほど感じさせられる。
