
はしたない女の子は好きですか?
第1章 ▼たまらないのはこっちだ。
「あの、新さん!」
雪がちらつく中、車に乗ろうとしている新さんを呼び止めた。
「あ、バイトの」
「あの、忘れ物です。マフラー」
「あぁ、本当だ。こんなに寒いのに忘れるなんてな」
あ、笑った。
少し細くなった目が弧を描く。
心臓がきゅんとした。
「わざわざ届けてくれてありがとう。寒いのに」
「いえ、あ…あの!」
「ん?」
「私、あなたのことが好きなんです!」
雪の中で大きな声で告白をした。
新さんは大きく目を見開いて、そして口に手をあててクスクスと笑った。
無邪気なその顔に私はまたキュンとする。
「な、なんで笑うんですか」
「ん…。嬉しくて。付き合ってもらっていいかな?」
「……え、えええぇ?!」
それが私と新さんの馴れ初めとかいうやつである。
