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陽だまりの唄

第1章 変わらない日常

いつもの時間に朝礼が始まる。


10階のフロアをぶち抜いた大会議室で行われる朝礼には国内アサイン課だけでなく海外アサイン課のスタッフ達もいる。

企画課や販売課、総務課…200名近い社員が集まる。


旅行業界は国内だけでなく海外情勢によっても傾向や趣が変わるからお互いの情報交換は欠かせない。


堅苦しい通達事項や確認事項の伝達が終われば、みんなそれぞれのフロア、それぞれのデスクに戻っていく。

こうして一日の仕事が始まる。


私もデスクに戻るとパソコンとにらめっこだ。
パソコンに送信されてくる多様なツアーのオーダーにマッチする添乗員を割り振るのは、まるでパズルみたいで難しい。


ツアーの内容によっては、専門の知識や資格を持つ添乗員の同行が不可欠なものもある。

対応できる添乗員にも限りがあるから、オーダー付きのツアーについてはどうしても時間がかかってしまう。
繁忙期は特に大変だ。

アサインしていきながら、現場に出ている添乗員からの状況確認や報告などの電話対応もしないといけない。

現場(ツアー)に出れば、添乗員は一人で旅程管理をする。
判断に困ったりトラブルに巻き込まれた時の頼みの綱は電話一本で繋がるアサイナーなのだ。

国内アサイン課は主任を含めて10人。

現場とアサイナーが口論となってしまい主任や課長が仲裁に入らざるを得ないのは私や榎本先輩のような添乗員出身者が少ないからかもしれない。






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