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僕は君を連れてゆく

第22章 ネクタイに指をかけたら


相葉から聞き出した内容は俺の予想したものだった。
次回のプロジェクトのことで相談に乗って欲しいと嘘をついて、資料庫に連れていき告白をしたが、アッサリとフラれた。
あまりに簡単で腹が立ちキスくらいさせて欲しいと迫った。
ということだった。
が、そのとき、主任の鎖骨に紅い痣を見つけて、なんで、こんなところにこんな痣が出来るのか問いただしたら主任はこう言ったそうだ。

「夢中だから、いつ付けられたのか分からない。」

なんだって~!!!

夢中なの?
それって、俺に?

そんなこと言ったのにあんな、態度取るの?

ツンデレにも程があるでしょ??
ツンツンツンツンデレじゃん。

「また、だらしない顔してる…翔ちゃんなんでしょ?」

「え?」

そんな、だらしない顔してるかな?
頬っぺたをペチペチと叩いてみた。

「主任の恋人って。」

「な、え、えぇ?!?!」

気が抜けていて上手く誤魔化せなくて。

「あのネクタイ、お揃いなのかな?それとも共有してるのかな?」

主任が今日、つけているネクタイ。

どんなだっけ?

「気がついてないの?」

相葉に言われても…全然、思い出せなくて。

「もし、翔ちゃんのネクタイをしてるのなら…主任は翔ちゃんのことが大好きなんだね。」

翔ちゃんのネクタイしてる!って思ったら、一気に冷めたよね~とか言って笑ってる。

でも、ここはきちんと男としてケジメつけなきゃ。

「相葉、二宮主任は俺のだから。」

わかった、わかったと、人のモノに手を出す主義ではないと言って謝ってきた。

とにかく、何もされてなくてよかった。

主任…

確かめなくちゃ。

ネクタイ。
なんで、俺のネクタイをしているの?

俺はさっきの資料庫に戻った。

きっと、ここにいる。

資料庫のドアをノックした。

「はい。」

いる。
主任がいる。

ドアを開けた。

ネクタイをきちんと、絞めて髪型を整えた主任がいる。

その首に巻かれたネクタイ。

俺のだ。

それにどんな意味があるんだ?

見せてよ。
全部。


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