僕は君を連れてゆく
第25章 お祭りの後は…
「ニノ、撮り残しあるんだって、行くぞ!」
「あっ、うん。」
ニノは肌けたシャツはそのままに俺の後ろに隠れるようにして、靴を履いてる。
「今回の件は事務所に報告します。でわ、失礼します。」
ニノの手を握って楽屋をあとにした。
相手の俳優への怒りはもちろんある。
俺の大事なメンバーに手をだすなんて。
俺たちの楽屋に着いてマネージャーに報告した。
きっと、すぐ動いてくれるだろう。
ニノはソファに座ったまま…
「今日の打ち合わせ、ニノも一緒にいい?あんなことあったあとだから一人にしたくない。」
「えっ、いいよ、俺は大丈夫だから…」
へへへと、笑うニノ。
「いや、でも…」
「大丈夫ですよ。私が責任もって送り届けますから…」
「松本さん、行きますよ!」
ニノを横目に見ながら、俺は打ち合わせに向かった。
ニノは俺と一度も目を合わせなかった。
打ち合わせ中も、ニノが気になって仕方ない。
きちんと、帰ったのかな?
帰ったなら、ご飯はどうしてる?
もう、怖がっていないか?
「…ん?」
「えっ?あ、ごめん!なんだっけ?つなぎだっけ?」
全然、集中していない俺に対してもこの人たちは丁寧に接してくる。
それは、俺やメンバーが今まで培ってきたものだ。
ダメだ。
「悪い!ちょっと、今日はダメだ。集中出来ない!」
「そんな日もあるよ。じゃあ、今日は終わりにしよう!」
そうして、夜までやるつもりでいたけど…
夕方にお開きになった。
スタッフと別れて、マネージャーに家まで送ってもらう。
「気になります?二宮さんのこと。」
「まぁね…」
「ですよね…どうなるんだろう…」
「共演、NGになるだろうね。」
「ですよね…」
車内もやっぱり、どんよりムードで。
「でわ、お疲れ様です。明後日は10時に打ち合わせですから。ゆっくり、休んでください。お疲れさまでした。」
マネージャーは帰っていった。
部屋に入らず、そのまま駐車場へ向かう。
スマホを取り出してニノへ連絡した。
留守電になってしまう。
「行っちゃうか…」
ニノのマンションに行くことにした。
俺は嵐のメンバーの家に入ったことはほとんどない。
実家とかはよく行ったけど…
前に聞いた住所をカーナビに入力した。
「よし…」