僕は君を連れてゆく
第25章 お祭りの後は…
相葉くんが注いでくれたワイン。
正直、味なんてわからない。
この場面をどう乗り切ろうか、そればっかり。
「んふふ。そんな、緊張しないでよ。」
相葉くんはゆっくりグラスを傾けながら、ワインを堪能してるようで。
ニノは、耳まで赤くして泣きそうな顔してる。
注がれるがままに、ワインを喉に流し込んだ。
そう、これは、俺が望んだことじゃない。
相葉くんが飲ませるから、飲んでるんだ。
ニノとヤれって相葉くんが言うから…
そう、心なかで繰り返して、ニノを見る。
ニノだって、本当は絶対に期待してるはず。
ニノは受けるだけじゃないかって。
大野さんは言ってたけど…
もし、攻めるのが初めてなら、それを俺が奪ってやる。
そして、俺の初めてもニノにあげちゃう。
そう、思ったらなんだか、楽しくなってきて。
緊張がほぐれたらしく酔いが回ってきた。
「相葉くん、もうないの?」
空になったボトルを見せて次をお願いする。
「調子出てきたね…」
「そういう、相葉くんは全然、飲んでないじゃん!」
「俺?そんなことないよ。楽しくなってきたし。ね?ニノ?」
「相葉くん?」
「なぁに?」
ニノは口数少なく、相葉くんをただ見つめてる。
そう、この角度からの顎のラインが俺は好きなんだ。
その顎に相葉くんの指がかかって、ニノの顔を引き寄せ赤い唇にキスを落とす。
触れあうだけの可愛いキスをいくつも繰り返す。
我慢出来なくなったのはニノで相葉くんの首に腕を回し体を密着させた。
薄く、開いたのニノの唇。
唾液を纏う舌が…
俺は二人のキスを食い入るように見る。
わかってる。
これも、このキスも俺を煽ってるんだろう?
俺が我慢できなくなって、俺が、俺からお願いするのを待ってるんだよね?
「あい、ば、くぅん…」
甘い声。
二人の唇が重なる水音。
「…っ…」
俺はすげぇ、興奮していた。