僕は君を連れてゆく
第27章 沸騰しちゃいそう
「じゃぁ、俺、部活行くね!」
翔くんは練習用のユニホームに着替えてリュックを背負って部活へ行ってしまった。
翔くんはサッカー部。
俺はバドミントン部。
どの運動部も練習する場所に限りがあって、校庭もサッカー部と野球部は交代でグラウンドを使っている。今日はサッカー部の日。
野球部は外周をしたり、階段登り降りをしたりと基礎練習となってる。
体育館を使う部活もそれは同じでバレーボール部の日。バドミントン部の日。卓球部の日。バスケットボール部の日と別れて使ってる。
うちは今日は自主練の日。
つまりは自由なんだ。
これで翔くんもグラウンドが使えなくて自主練だけとか、ミーティングだけってなると一緒に帰るんだけど。
そんな日は決まって屋上に行く。
体育館の屋上は解放されていて、たまに合唱部や吹奏楽部が使っていたり…
隠れていちゃいちゃしてるカップルがいたり…
翔くんがグラウンドで部活してる日。
俺はその姿を屋上から眺めてるんだ。
たまに上を見上げて俺を見つけて目で合図を送ってくれる。
それが、たまらなく嬉しい。
いつもの柱の影に荷物を置いてグラウンドを見渡す。
「そろそろ、寒くなってくるなぁ…」
秋晴れの空。
なんか、あの雲、魚に見える…
「お隣いい?」
急に声をかけられて振り向いたらニノがいた。
「ぷっ…なに、その、顔…」
俺の驚いた顔を見て笑ってる。
「いや、ビビるっしょ?!」
「こんな秘密の場所があったなんて…いいね、ここ。」
「相葉ちゃんは見えないよ?」
そう言えば、相葉ちゃんも委員会が急に入ったって、話してたな。
「だってぇ、委員会なんだもん…せっかく一緒に帰れると思ってたのに…」
「待つの?」
「待つの♡」
どっかの女芸人みたいに腰に手をやり右の肩をグッと前に出した。
「「アハハハ!!!」」
「いい天気!案外、寒くないんだね。」
「うん、今だけだよ。11月の後半は寒くて無理!」
グラウンドに目を向けると、翔くんはボールを追って走ってる。
汗が、秋の太陽に照らされてキラキラしてる。
「眩しくて、眩暈がしそう♡」
「は?」