僕は君を連れてゆく
第29章 BB
でた。
「何言ってんだよ!若い男女が一つの部屋に二人きりでいたらそーなるだろっ!」
「俺は手越を信じる。」
「信じるじゃなくてさ…疑わないとやってけないでしょうよ。」
「疑わしいやつはね。でも、俺はアイツの目を見て思ったから…大丈夫だよ。」
なんで、こいつはこんななんだ。
職業柄、アリバイがあっても疑ってかかってきた。
彼女にさえ、話し方が職務質問されてるみたいでヤダとフラれるくらいなのに。
こいつは、自分の勘を信じるとか言って…
「今回はいいじゃん?ね?お互いに想いあってる二人なんだからさ。」
バファリンみたいなやつなんだ。
(バファリンの半分は、優しさで出来ているんだぞ!)
「ったく…」
いつもこうだ。
相葉とバディを組むようになって約一年。
お互いのことも、だんだんわかってきた。
「帰ろう?お腹すいちゃったなぁ。ね?駅前の蕎麦屋入っていこうよ。」
「やだよ、昼は一人で食べたい。」
「なんでよ~!ってか、ニノは何できたの?」
「えっ?パトカー…だけど…」
そうだ。
あの二人を乗せて署に帰ってもらって…
俺の足がない!
「相葉は?」
「俺は歩きだよ!」
額に汗を光らせて爽やかに答える相葉。
ったく…
「タクシー掴まえよ。」
「それ、経費で落ちないんじゃない?」
「マジで?」
「うん。だから、歩いて帰ろうよ。今日、いい天気だもん…」
相葉はジャケットを手に持って両腕を上げ体をほぐす。
確かにいい天気だけど…
足元に目をやったら相葉なスニーカーだった。
革靴は履き慣れないらしくスニーカーで仕事をしてる。
手足が長いからなのか、顔が小さいからなのか、
その両方なのか…
よく、似合ってるんだよな。
「でさ、ちょっと気になることあるんだよね…」
それらしい顔で俺の顔を伺う。
「なに?可愛い女の子でもいたの?」
「なんで、そーなるかなぁ。真面目な話!」