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僕は君を連れてゆく

第29章 BB


署についてから俺は最近の振り込め詐欺について調べた。

俺たちが住むアラ市は最近、市長選挙があって市長が変わった。
新しく市長になったのは都内の有名進学校の元校長先生で、その前は確か普通の営業職につくサラリーマンだったとか…
確か…名前は櫻井とか言ったな…

その選挙で当選した新しい市長、櫻井の名前を使っての詐欺だ。

櫻井が市長になったから、元職場の株価が上がったから、市民税の優遇が出来る。
そのために、先に一年間で支払う税金を振り込んで欲しいとか。
これからの、町作りに必要な投資をしよう!とか。

もちろん、そんなことはない。

が、長くこの町に住んでくれているからとか…
70才の方限定で、とか、税金の支払いの滞納がない方とか…

高齢者が食いつきそうな言葉を使って、現金を騙しとっている。

市長の櫻井からも警察に何とかして欲しい!って苦情?!的なことがあったとか、なかったとか…

「このじぃさんは…65万円…こっちのばあさんが42万円…」

こんなにたくさんの人が被害にあってるなんて…

次の被害者がでないように早く犯人を逮捕しなくちゃ…

ちょっと、俺たちだけだと調べるのは限界だ。
隣の捜査2課に協力をお願いするかな…

なんて、事を考えていたら。

「ねぇ、ダメかな?領収書もらってきたからさ~」

相葉の大きな声が聞こえてきた。

「ダメ!ダメ!タクシー代は経費では落ちません!」

「まつじゅーん!!そこをナンとか!お願い!」

「ダメ!ダメ!」

松本は席をたって俺に向かってカッコ良く顔をキメて出ていった。
相葉は項垂れるようにデスクに戻っていく。

椅子に深く腰をかけて、ハァーと大きな溜め息をついた。

面白い。
なんて、面白い奴なんだ。

相葉を見ていたら相葉が俺を見た。

バッチリ目があった。



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