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僕は君を連れてゆく

第29章 BB


結局、ラーメン屋に入った。

「はぁ~旨かったなぁ~」

大野さんは楊枝で歯をシーシーしだした。
はじまった。
(ついでに、おしぼりで顔も拭く人だぞ!)

俺はそれをボケっと見てたら、ラーメン屋の天上から釣り下がってるブラウン管テレビに市長の櫻井が出た。
~若きリーダーの野望~とかいうクソダサイ、テーマを爽やかに語ってる。

「こいつ、俺の高校の同級生なんだよなぁ。出世したよな…神様ってズルいよな…」

「本当に?」

「あぁ。イケメンだろ?」

なんで、アンタが偉そうなんだよ!ってそうじゃない。

「ねぇ、その新しいイケメン市長のことで聞きたいことあるんだけど…」

「ん?なんだ?」
俺は今朝の手越の件と、遅れてきた相葉の話。
そして、その相葉が見たものをかいつまんで話した。

「ふーん。なるほどね。確かに気になるね…」

「だろ?二課で結構、取り締まってるんでしょ?」

「櫻井の名前を使っての詐欺はあるのは確かだな。それも櫻井の選挙の協力者を名乗ったり、元同僚でこれから、市議会で働く者だと名乗ったり…様々なんだよ。」

大野さんたち、二課も被害にあった高齢者たちからの話を聞いただけらしい。
直接やりとりしてる現場を見ないことには手出しできないと。

「そっか…」

「相葉と二人で動けよ?」

「え?」

「わかったか?」

真面目な顔で言うから素直に頷いた。

「よし!行くぞ!」

ご馳走さーん、と、大きな声を出した。
楊枝を咥えたまま。

「俺ももう少し、調べてみるからよ…」

「よろしくお願いします!」

大野さんも調べてくれるって言うし…
相葉が行った婆さんの家に俺も行ってみるかな…

署に戻ると相葉の姿はなかった。

「あ、二宮さん!報告書書け!って一課長言ってましたよ!」

忘れてた…

「置いておいて…」

「今日中…だそうです。」

「はいはい。わかりました。わかりました。」

報告書…
めんどくせぇ…

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