僕は君を連れてゆく
第29章 BB
フゥー、フゥーと荒い呼吸の音。
薬でもやってるのか、全身を上下に揺らしている。
婆さんをそっと寝かせて、俺は自分のスーツの上着を婆さんにかけた。
腕っぷしには自信はないけど、婆さんにこれ以上怖い思いをさせるわけにはいかない。
「もうすぐ、警察がくる。暴れてるところにやってくるぞ。不法侵入、俺に手を出せば公務執行妨害…どんどん罪が重なるぞ。」
「うるせぇな…ちっこいくせに…」
ちっこいは余計だろ!
「手袋落としたかもって思って戻ってきたら、話し声するんだもん、ビビった~」
ケラケラと笑う。
「でも、お前なに?俺に手を出せばってお巡り?こんな可愛い顔して?」
「そうだ!お前、男もイケるんだっけ?ケツ掘らしてもらえば?」
バットを振り回しながら俺に一歩ずつ、近寄ってくる。
「お巡りさん、色白で綺麗だもんね…お巡りさんもソッチかな?」
奥にいたキャップを被った男が玄関に積んである皿を俺に向かって投げてくる。
婆さんに覆い被さる。
その間もニット帽の男は俺に近寄ってくる。
腕を取られて体を起こされた。
反対側の手でそいつの体を押しながら、足で体を蹴る。
思ってたよりニット帽の男は体がデカイ。
バットを振りかぶってきたから、身を縮めた。
が、バットはその場に落とされて俺の腹に拳が入った。
「うっ…」
そして、顔を平手で殴られた。
「やべぇ…俺、そんな趣味ないはずなんだけど、マジで犯しちゃっていいかな?」
両足首を持たれ引きずられる。
「やめろっ!」
キャップを被った男が俺に背中に回り羽交い締めにしてきた。
マジかっ!!!
「お巡りさんなら俺もイケるかも…」
なに言ってんだ!
相葉っ!助けてっ!
マウントポジションをとられ左手で口を覆われた。
右手で股間をグニグニと押される。
足をバタバタさせて、どうにか抜け出そうとするもビクともしない。
「暴れんじゃねぇよ!」
腹にもう一発くらい、ビンタされた。