僕は君を連れてゆく
第29章 BB
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「…んっ…」
目が覚めたら、真っ白な天井が目に入った。
左手が重い。
体を起こそうとしたけど、腹が痛くて難しそうだ。
でも、視界に入るこの頭の形。
相葉だ…
相葉が俺の腕の上に頭を乗せている。
顔が足元の方を向いてる。寝てるのか…
あっ!刺されたはずだ…
「あぃば…あいば!」
頭がくくくっと動いた。
「ニノ?大丈夫?」
「大丈夫…お前は?刺されたんじゃ…」
見る限り、傷は無さそうだけど…
「大丈夫。これ着てたから…」
と、スーツのボタンを取って見せてくれたら、防弾ベストを着ていてそこは穴が開いている。
俺はそこを触った。
「腕は?あれ、金属バットだろ?」
腕を見せてもらったら包帯を巻いている。
「腕時計してたから…これだけで済んだ!」
と、顔をしわくちゃにして笑った。
相葉は俺の頭を撫でる。
「遅くなってゴメン。大野先輩たちが防犯カメラから犯人っぽい二人組見つけてくれたんだ。そいつらの身元追ってたんだ。そしたら、あいつらに辿り着いて…」
悔しそうに唇を噛んだ。
「怖かったろ?痛かったろ?」
相葉の話によると、駅周辺の防犯カメラには現金を騙し取られたという日に必ず自転車で二人乗りして駅に来る二人組を見つけたそうだ。
その自転車も盗まれたもので盗難届けも出されていた。
そこから、二人組の足取りを追っていったそうだ。
今日もいつもと同じ格好で駅から降りてきた二人組を発見した大野先輩は相葉へ連絡して、お婆さんの家に向かうように連絡したらしい。
それらを一課長に話して逮捕状を請求してもらうようお願いして婆さんの家に向かっている途中で俺からの電話。
そのあとすぐに大野先輩からその二人組からまた、お婆さんの家に戻るかもしれないと連絡がきたそうだ。
まさか、金属バットを持っているとは思わなかったと。
「ニノ…」
俺の傷に負担がかからないようにそっと抱き締められた。
肩口の声は震えている。
「よかった…無事で…」
離れた体。
鼻と鼻がくっつきそうな距離。
「助けてくれて、ありがとう」
「うん。」
俺は目を閉じて顎を上げて相葉の唇に自分の唇を
重ねた。