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僕は君を連れてゆく

第29章 BB


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「相葉くん!これ、経費で落ちないから!この前も言ったよ?」

松本の大きな声がフロアに響く。

「えー、お願い!次は本当に気をつけるから!ね?松潤!」

「ダーメ!もう、何度も言ってるじゃん!」

みんなが、二人のやり取りをみながらクスクス笑っている。

あの二人組は逮捕された。
公務執行妨害、不法侵入、傷害…罪は重い。
そして、婆さんもすぐに病院に搬送されて手当てをしてもらい、今は息子家族と一緒に暮らしているそうだ。

今回の事件をきっかけに、櫻井市長は一人暮らしの高齢者世帯の確認、防犯カメラの設置。
空き家の確認など犯罪を未然に防ぐためにはどうしたらいいのか、という点に重きを置いた対策をとると約束したそうだ。

イケメン市長の株はさらに右肩上がりだ。

俺は相葉と松本の二人を見ながら署内の広報誌に目を通していた。

大野先輩は今回の件で迅速な対応が評価され昇進するらしい。

似合わないよな…

俺はというと…

「二宮さん、思ったより早く復帰出来てよかったですね。」

「あ、うん、そうね。」

「にしても…この記事読みました?相葉さん、
超カッコいいですよね~」

それは俺が気を失い相葉にお姫様抱っこされ家から出てくる写真だ。
今回の事件を聞き付けたマスコミが撮った1枚で雑誌に掲載されている。

高齢者も守り、仲間も守り、さらに町を守る警察!
と見出しにあって警察と町の連携の強化を訴えるものだった。

「この、二宮さんの顔も綺麗だしチラって見えるお腹がヤバイんだもーん!!」

そうですね…
腹筋なんてないからね…

「相葉さん、この写真を載せるなんて!ってすっごい怒ってたんですよ!」

怒るってなんでよ…
まぁ、確かに男を抱き抱えてる写真なんて気持ち悪いもんね…

「二宮さん、相葉さんに愛されてますね?」

そっと耳打ちされた。

「え?」

「俺のニノのお腹が全国にさらされるって!ね?愛されてますね?」

フフフと、笑ってる。

からかってるのか…
本気なのか…

女の子の考えてることはわからない。

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