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僕は君を連れてゆく

第30章 2.5次会


「ねぇ、あれ、どうだったの?」

面白かったよねぇ、と思い出すように目線を天井に上げた。

「あれって?」

もう一本、ワインを開けようかと思いワインセラーに手を伸ばしたらその腕を掴まれた。

「な、に?」

驚いて、思わず振り払ったら

「イッテQ!」

と、肩をパシンと叩かれた。

「…あぁ、タイまでね…」


「そう、それ。だいぶ、楽しんでたらしいじゃん…」

ニヤニヤと
いや、ニタニタという言葉が合うような顔で笑ってる翔くん。

「楽し…かったよ…久々の海外だったし…」


「大輔さんってやっぱり、面白いよねぇ。」


“大輔さん”という言葉に、思わず体が反応した。


「俺が教えてやりたかったけどね。」


「え?」


なんだって?
なんだって?

心臓がドクン、ドクンと大きな音をたてる。

「色々、イイ思いしたんでしょ?」


イイ思い?

多分、今、俺、すげぇ、不細工な顔になってる。


「なんて、顔してんだよ!」


どんな顔してる?

あれは、あのことは、そう、同意の上だ。

そういうことに偏見を持つ人がいるのもわかる。

悪いことしたわけじゃない。

だけど、なんでこんな気持ちになるんだろう。

「っふは!百面相だな。」

「何を聞いたのか知らないけど…悪いことしたわけじゃないから…」

「そうだね。悪いことじゃないけど…」

ドクン、ドクン

まただ、もう

「なんだよ…けどって…」

「お前の“ハジメテ”は、俺だと思ってたから。」



・・・・・?



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