僕は君を連れてゆく
第31章 熱視線
明日は県予選の決勝だ。
俺たちは順調に勝ち進んだ。
高校全体が応援してくれている。
町までもがバスを貸し切って応援団を作り、応援しに来てくれる。
俺は、柄にもなく緊張していた。
夜、ベットの上で仰向けに目を閉じるもなかなか寝付けないでいた。
「眠れねぇ…」
スマホで今日の雅紀とのやり取りを見直していた。
雅紀のスタンプのセンスにじわじわ笑いが込み上げてきて…
「雅紀、起きてかっな?」
通話ボタンをタッチしようか…
寝てるかも…
もう!起こすなんてヒドイよ、翔ちゃん!
なんて言うのかな…
それとも、
俺も眠れなかったんだ…翔ちゃんの声聞いたら安心した…とか言ったりして…
完全な妄想の世界に入ってしまった俺。
雅紀から送られてきた腕の筋肉の写真を見る。
この肘から人差し指までのスナップが早くて下半身のひねりと重なって急に球速が上がるんだよな…
雅紀は汗かきで試合中に汗が目に入り泣いてるように見えるときがある。
その顔が、ちょっと、エロいんだよな。
着替えるときもなんの躊躇いもなく、
ユニホームを脱いでく雅紀。
当たり前だけど。
浮き出る肩甲骨や割れた腹筋。
腰のくびれ。
全てに俺は…
身体がじんわり熱くなってくる。
明日は大事な試合なのに。
翔ちゃん!
そう呼ぶ時に上がる口角。
見える赤い舌。
あぁ…たまんねぇ…
右手で股間に触れる。
きちんと、反応している俺。
呆れながらも、どこか開き直ってる自分に笑える。
雅紀…
離れるな。
そばにいてくれ。
雅紀…
右手をスエットの中に入れようとしたら
スマホが鳴った。
「うわっ!誰だよ!え?雅紀?マジ?」
画面には雅紀の二文字。
雅紀に少し、罪悪感を持ちながらも通話ボタンを押した。
『もしもし?翔ちゃん?ごめん…こんな時間に…』
少し、遠慮がちで小さい声からは謝罪の気持ちが伝わってくる。
いえいえ、こちらこそ、
あなたをオカズにするところでしたから…