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ガラスの靴がはけなくても

第1章 眠れぬ夜

何か言わなきゃいけないのは分かってるのに、言葉が喉の奥に詰まって出てこない。

窓の外を見つめる私の動揺に気付いていないはずがないのに、部長は言葉を続ける。



「なにをそんなに堪えてるのか俺には分からないけど」



分かるはずがない。
自分でも分からないのに他人の部長が。



「ただ、そんなに我慢する必要はないんじゃねぇの?」



「…………っ」




「藤野は気を張りすぎだ。ちょっとは肩の力抜いたらどうなんだ。医務室にいるとき、寝てるはずなのに。意識がねぇのに眉間に皺寄せて唇噛み締めて。何をそんなに堪えて我慢してた?」



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