ガラスの靴がはけなくても
第1章 眠れぬ夜
彼と釣り合いたいって、彼好みの女性になりたいと思ってた気持ちがいつからか、自分の首を絞めるようになってた。
それでも自分を偽り続けたのは彼のことが好きだったから。
嫌われたくないって、そう思ってたから。
「なんの意味もなかった」
結局悟は私から離れてしまったんだから。
「ワガママを言う女は嫌いだって」
そう言うから物わかりのいい女になった。
「……すぐに泣く女は、きら…いだって」
そう言うからいつからか彼の事で泣かなくなった。泣けなくなった。
なのに……
「分かった。分かったから、我慢するな。泣けよ」
今は溢れる涙を止められない。