ガラスの靴がはけなくても
第1章 眠れぬ夜
ずっと泣きたかった。
ケンカした時。
誕生日に会えなかった時。
約束をしたのに連絡が取れなかった時。
……別れようと言われた時。
もう、何も我慢しなくていい。気を張ってなくったっていい。
そう分かってもきっと一人では泣けなかった。
いつの間にか路肩に止められていた車の中。こどものように泣きじゃくる私とそれをあやすように優しく私の頭を撫でてくれる部長。
悲しくて、寂しくて。
まだ好きだと思う自分と、
「わた、しっ…、別れるのいやなの、に…正直ホッとした…っ」
別れを告げられたのにそう思った自分。
そんな最低な自分をさらけ出したくなかったのに。
簡単に引き出されて。
汚い私も全部吐き出してしまいたいとそう思った。