ガラスの靴がはけなくても
第3章 理性と本能
フワフワと柔らかそうな髪をかき上げ、そのまま額に手を当て笑い続ける。
呆然と見つめ、どうしたらいいのか考える私。
「やばいっす。俺マジになりそ」
「からかうのはやめて」
笑いすぎて涙目になりながらそう言う彼に一喝する。
「え~だって焦る藤野さん可愛いかったんですもん」
「もうっ…!からかわないでって言ってるでしょ!」
またもや笑い出す彼は酔っているのかもしれない。
なんだかこう言うの苦手だ。女に馴れてる感じって言うのかな?
爽やかゆえに軽さもあるのか、そのフワフワな髪の様にフワフワな澤村君。
振り回されてる。
年下のくせに。
大体振り回されるのなんて――…
「桐谷部長!お疲れ様です!!」
「お疲れ様。みんな酒くせぇなぁ」
…――この人だけで充分だ。