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半社会人(仲村慶彦の憂鬱な日々社会人編)

第52章 会社の跡取りだぁ?


カッコいい!この言葉をどれ程待ち望んだだろうか。
今オレは泣いてもいい気分だ!
いや、号泣してもいい!
それほどオレにはこの言葉が神の御言葉にも感じる!

「で、野村さんの事よね?」

そうだっ!一瞬にして我にかえった。

「は、はい。あの人って普通ならとっくにクビですよね?あんだけ仕事しないで会社に居る事自体不思議で」

沙織は生ビールを追加してオレにこう言った。

「あの人、社長の息子なのよ」

は?何それ?初めて聞いたぞ、そんな事は!

「でも名字が違くないですか?確か社長は井上って名字じゃなかったですか?」

「うん、正式には別れた奥さんの旧姓が野村で、あの人は奥さんの名字を名乗ってるのよ」

…オレは野村と入社してから幾度となく、飲みに誘われ色んな話をした。
しかし、野村が社長の息子だったなんて事は一言も言わなかったぞ。

「ゆくゆくはあの会社は野村さんが社長になるみたいらしいけど。もしあの人が社長になったらアタシは会社を辞めるわ」

はぁ、次期社長かよ。
あんなオヤジが社長になったら会社潰れるな、こりゃ。

「確かに社長になるにはあまりにもサボり過ぎなとこありますよね」

「あの人ね、前にいた会社でセクハラで訴えられてクビ同然の形で今の会社に入ったそうよ」

バカじゃなかろうか…
よりによってセクハラとはwww

「訴えられたって事は相当酷い事したんですかね?」

「詳しくは知らないけど、慰謝料をかなり払ったらしいわよ、社長が。その慰謝料を払う条件として今の会社を継ぐ形で入ったらしいけどね」

沙織にしては珍しく吐き捨てるような言い方をした。

野村を相当嫌ってんだろうな。

「で、野村さんのその事を知って人は社内で結構いるんでしょうか?」

「実はあんまり知られていないのよ。アタシは前に企画部署にいた時に、部長で斎藤さんていたでしょ?あの人から色々聞いたのよ」

くの一沙織か!情報収集はお手のものってとこか。

「部長は野村さんの事を嫌ってるわ。出来ればこの会社から追い出したいとまで言ってたぐらいだから。社長にも直談判したらしいけと、所詮は別れたとはいえ、我が息子が可愛くて社長は野村さんの擁護するようになったのよ」

恐るべし野村!

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