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半社会人(仲村慶彦の憂鬱な日々社会人編)

第52章 会社の跡取りだぁ?


「おまけにこっちに来てからセクハラはエスカレートして、新入社員の女の子辞めさせたりしてね。アタシの直属の後輩だったんだけど、耐えられなくて依願退職という形で辞めたわ」

段々と沙織の口調が投げやりな感じになってきた。

後輩を辞めさせるようなしたんだから沙織が怒るのも無理はない。

「あれ、その新入社員て高橋さんが仕事してる合間にスマホばった弄って、やる気がないなら辞めなさいって言った社員の事じゃないですか?」

オレは野村からそう聞いたぞ。

「うん、確かに後輩にはスマホばっかりしてないでちゃんと仕事しなさいってね。でもそのスマホからの連絡先は野村さんだったのよ」

なんだって~!

「新しい娘に飲み会でLINE交換したらしく、次の日から時間帯構わずにLINEしてくるんだって。さすがにイヤになってアタシに相談しに来たんだけど。
もうその娘は辞めるつもりだったらしく、辞めさせるきっかけを与えたのよ、アタシが」

鬼の野村だな!いや、鬼畜の野村とでも言うべきか。

「てことは高橋さんが泥かぶるような形でその社員は辞めたんですか?」

「そういう事になるわね。何だか疲れてきちゃった。

あの人は次期社長どころか、シロアリみたいなもんよ」

随分とやさぐれてんな沙織は。

沙織と野村は水と油のような関係なのかな。

やりたい放題で我が物顔で社内を徘徊してるからな、あのオヤジは。

テメーで蒔いた種をテメーで刈り取らねえってワケか。

そりゃいくらなんでも沙織がかわいそうだ。

それから野村の女遍歴を炎々と聞かされた。

少なくとも会社には野村の喜び組が数名いるという事まで聞き出した。

…絶対に亜美には近づくな!

この男が亜美の彼氏になるなんて兄として断固認めん!

オレは野村と亜美の経緯を沙織に話した。

「妹さんは一刻も早く野村さんと縁を切るべきだわ。あの男、女なら見境なく近づいて紳士ぶって接するから若い娘は落としやすいかもね。あんなヤツいなくなればいいのよ!」

相当頭にキテるな沙織は。

オレは仕事のジャマしかしない野村がかなりめんどくせーワケで…

こうなったら、亜美に直接聞くしかないな。

また憂鬱だ…

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