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半社会人(仲村慶彦の憂鬱な日々社会人編)

第30章 沙織と飲みに行く

オレは急いでトンカツを食い、野村に礼を言って会社に着いた。

部署に戻ってオレは残りの仕事を片付けていた。

「仲村君」

げっ!沙織だ!

「仲村君、野村さんと何処に行ってたの?」

「あ、いやそのちょっと外の空気を…」

「ふぅ~ん。野村さんとはあまり付き合わない方がいいわよ。
あの人、あんまりいい噂聞かないから」

「はあ、解りました」

「それよかさっき何ともなかった?仲村君意識無くしちゃうんだもん、ビックリしたわよ」

さっきの小芝居か…

「あぁ、もう大丈夫っす。問題もないっす…」

「そう、ならばいいんだけど。仲村君、また野村さんにあんな事されたらアタシに言って。
パワハラで上の人に何とかしてもらうようにしてあげるから」

「いや、大丈夫です。野村さんああやって自分とふざけてるだけですから」

「よくない!ふざけっこにしても度が過ぎるわよ、あんなプロレスの技かけるなんて。大怪我したら大問題になるんだからね、解った?」

「は、はい。すいません」

何だかこれじゃ野村と沙織の板挟みじゃんかよ、オレ…

その後は何もなく過ぎ、仕事が終了した。

会社の門を出た時に沙織に呼び止められた。

「仲村君、たまには飲みに行かない?予定があるならいいけど」

…二人っきりか?

二人っきりで飲むのか?
「いや、別に大丈夫ですが…」

「じゃ、ちよっと軽く飲もう」

オレは結構です!とは言えず沙織に誘われるがままに居酒屋に着いたのだった。

賑やかな居酒屋だ。

ここで軽く飲んでさっさと帰ろう。
話なんて続かないからな。

「仲村君は何飲む?」

「自分は生中を」

「すいませーん、生中二つ」

沙織が店員に注文する。

間もなくしてジョッキがテーブルに置かれる。

「じゃお疲れ様、カンパーイ」

「お疲れ様です」

カチッとジョッキを合わせた音がする。

「…」

話が続かねえ!

お互い無口でジョッキの中を空にした。

すると沙織がバッグからタバコを取り出し火を点け煙をフゥー、っと吐いた。
げっ、タバコ吸うのかよコイツ!
オレは吸わないんだぞ、一言ぐらい吸ってもいいか聞けよ!



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