半社会人(仲村慶彦の憂鬱な日々社会人編)
第42章 ボクシングジム
えっ?オレ?
練習生らしき人物がオレに声を掛けた。
「あ、いや、あのリングでコーチしてる人と知り合いなもんで…」
何か挙動不審なヤツと思われてないかな、オレ?
「あー、橋本さんの知り合いですか?だったらどうぞ中へ」
言われるがままにオレはジムの中に入った。
うぉっ、スゲー熱気だ!
まるでサウナの中にいるようだ。
ストライカーはオレの事に気がつかずひたすらミットを構え、選手に指導していた。
暫くしてブーーーッとブザーが鳴り、ミット打ちが終わった。
「もう少し回転を速く、それと大振りになってるから小さくコンパクトに打つ事!解ったな?」
「はいっ!」
そう言ってリングを降りた。
「あっ、ジョニーさん!この前はありがとうございます。どうしたんですか、今日は?」
ストライカーはオレがこのジムに見学しているのをようやく気づいた。
「スゲー、ストライカーボクシングのコーチだったんだ…」
「いや、仕事の空いてる時に教えてるだけですよ。でもよくここが解りましたね?」
まさか、この先のDVDショップで佑香ちゃんの新作買いに来たとは言えん!口が避けても言えん!
「いや、そのたまたま用があってこの駅に降りたらジムがあって中覗いたらストライカーがボクシング教えてるからさ。いや~、スゲーじゃん!」