半社会人(仲村慶彦の憂鬱な日々社会人編)
第42章 ボクシングジム
「昔ちょっとやってたぐらいですから」
何だかストライカーがカッコよく見える。
「橋本さん、ストライカーって何すか?」
さっきまでミット打ちしていた選手が肩でハァハァと息をしながらストライカーに聞いてきた。
「ああ、SNSでのハンドルネームだ。この人とは何度も飲んで色々と世話になってる人だ」
そんな!オレこそ世話になってるじゃないか!
「はじめまして、山下と言います。Jr.バンタム級の4回戦でまだデビューして間もないですが」
その山下という選手はオレにペコリと頭を下げた。
「あ、いや、はじめまして仲村と言います。橋本さんにはいつもお世話になってます」
ストライカー、橋本雄介(はしもと ゆうすけ)って名前なのか、初めて知ったぞ!
「どうです、試しにグローブはめてみませんか?」
「えっ、オレ?いやー、さすがにそれはちょっと…」
「やってみた方がいいですよ、ストレス解消にもなりますから」
ストライカーはオレにグローブをはめさせた。
マジかよ…
「んじゃ軽く打って下さい」
言われるがままにオレはストライカーの構えたミットにパンチを打ち込んだ。
ボフッ!
「もう少し脇を締めて、腰の回転で打つように、そう、それ!
もう一丁!うん、そんな感じで」
オレはひたすらミットにパンチを叩き込んだ。
「構えがサウスポーというのがいいですね。どうですか、これを機にボクシングジムやってみては」
マジ?いやさすがにボクシングは無理だよ!
「いやー、かなりキツいよ。段々グローブが重く感じてきた…」
ちょこっと打っただけで滝の様に汗が流れた。
おまけにハァハァいってマジ疲れる!
「ジョニーさん、暇な時に来てサンドバッグ叩いてみた方がいいですよ」
えぇー、ストライカーそれってオレにジムに入れって事かぁ~?