半社会人(仲村慶彦の憂鬱な日々社会人編)
第47章 プロテスト当日
オレもストライカーもプロテストの日はセコンドとして弾丸のテストを見守るつもりだ。
その日の為にオレは有給をもらった。
後はテスト当日までコンディションを整え、軽めの練習で切り上げ、鋭気を養う。
オレたちは当日、かの有名な格闘技の聖地、後楽園ホールでテストを行う。
弾丸はC級からスタートし、合格すれば4回戦からデビュー戦が出来るワケだ。
勝ち上がれば、新人王のトーナメントにノミネートされていく。そして東日本の新人王と西日本の新人王が日本一を決めるまで勝ち続かなければならない
気の遠くなるような道のりだが、弾丸なら突破できるはずだ。
そしてついに聖地後楽園ホールに足を踏み入れた。
「よし、行くぞ」
弾丸はテストに必要な手続きを済ませた。
まず最初は簡単な筆記試験だ。ルールに関する問題が多いみたいだが、楽勝でパスした。
問題は実技試験。2Rのスパーリングが重要な鍵を握っている。
控え室では弾丸の拳にバンテージを巻いた。バンテージにはジムの選手から寄せ書きのように書きまくられていた。
「泣いても笑ってもこの次のスパーリングで決まるんです」
ストライカーが神妙な顔つきで弾丸に問いかけた。
弾丸は黙って頷き、何度もトイレに行った。緊張が隠せないのだろうか。
やがて弾丸の番になった。
「向こうの対戦相手、金髪にタトゥーでいかにも好戦的なヤツだな」
オレはあんなヤンキー崩れみたいなヤツより弾丸の方が遥かに強いと見た。
プロテスト合格してくれ、頼む!
カーーーーーン!
ゴングが鳴った。
序盤はお互い様子見なのか、ジャブぐらいしか放たない。
対戦相手はサウスポースタイルだ。ならばオレとのスパーリングでサウスポー対策は散々やってきたから万全なはずだ。
お互い有効打に欠け、1ラウンドは終了した。