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ナイト・ナイト・スウィート・ドリームス

第1章 むかしのはなし(※)

主犯者が見ている前で、私はモモエを殴った。

「痛い」「やめてアンズ」「私達友達だったでしょう」


モモエは泣いていた。
ずっと。私を助けるために。やめてと懇願していた。

私はやめれなかった。
モモエは右腕を骨折し、左頬を切った。
私も手首を骨折していた。前歯が欠けた。

そんな重傷を負わせた相手から、「今日泊まらせてほしい」なんてメールが来たら、そりゃ憤慨するだろうな。
未成年だからカラオケにもいけない。
今更母親と愛人がセックスしている家に戻る気もない。


とりあえず近場のコンビニに行っておにぎりとホットココアを買った。
コンビニの前でそれを食べる。

店員が怪しそうに見ているが、このまま通報されて補導されるのもいいな、と思った。


親にも見放されて、友達も一人も居なくて、失うものなんて何もなかった。

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