
君が桜のころ
第2章 花影のひと
…夜の帳も深くなった。
凪子はそっと上半身を起こし、傍で静かに眠る慎一郎のやや乱れた艶やかな黒髪を優しく撫でつける。
慎一郎の少しも崩れたところのない端正で気高い美貌を見つめていると、先ほどまでの激しい性交が嘘のようだ。
窓辺で凪子を攻めたてたのち、慎一郎はそのまま凪子をベッドへと運び…
「…まだ、君が足りない…」
と熱いくちづけを繰り返した。
そして、正常位、騎乗位と凪子に強いたのち、凪子の子宮の奥深くに、その都度熱く多量の精を注ぎ込んだ。
「…早く…私の子供を孕んでくれ…」
慎一郎が極める時に、耳奥に熱く囁かれ、凪子はその声と共に甘美な絶頂を極めた。
凪子は慎一郎を起こさないようにそっとベッドを抜け出した。
慎一郎に脱がされたナイトウェアを羽織り、ふと隠しにある名刺に気づく。
ランプの灯りに、象牙色の上質なそれを翳す。
横浜山下町の高級住宅地の住所と名前、そして清賀が経営している東京の貿易会社の所在が記されていた。
…清賀礼人…。
お披露目会での清賀が綾佳を見つめる熱い眼差しが蘇る。
…そして、先ほどの…凪子と慎一郎と共に、快楽を極め、崩れ落ちた美しくも淫らな姿も…。
ふいに凪子は美しい面に、冷え冷えとした冷酷な表情を浮かべ、名刺の角をランプの灯に当てる。
名刺はあっと言う間に炎に包まれ、見る見る内に黒く焼け焦げ、やがては凪子が放ったベネチアンガラスの器で灰と化した。
それを最後まで見届けると、凪子はランプの灯りをそっと吹き消し、ベッドへと戻っていったのだった。
凪子はそっと上半身を起こし、傍で静かに眠る慎一郎のやや乱れた艶やかな黒髪を優しく撫でつける。
慎一郎の少しも崩れたところのない端正で気高い美貌を見つめていると、先ほどまでの激しい性交が嘘のようだ。
窓辺で凪子を攻めたてたのち、慎一郎はそのまま凪子をベッドへと運び…
「…まだ、君が足りない…」
と熱いくちづけを繰り返した。
そして、正常位、騎乗位と凪子に強いたのち、凪子の子宮の奥深くに、その都度熱く多量の精を注ぎ込んだ。
「…早く…私の子供を孕んでくれ…」
慎一郎が極める時に、耳奥に熱く囁かれ、凪子はその声と共に甘美な絶頂を極めた。
凪子は慎一郎を起こさないようにそっとベッドを抜け出した。
慎一郎に脱がされたナイトウェアを羽織り、ふと隠しにある名刺に気づく。
ランプの灯りに、象牙色の上質なそれを翳す。
横浜山下町の高級住宅地の住所と名前、そして清賀が経営している東京の貿易会社の所在が記されていた。
…清賀礼人…。
お披露目会での清賀が綾佳を見つめる熱い眼差しが蘇る。
…そして、先ほどの…凪子と慎一郎と共に、快楽を極め、崩れ落ちた美しくも淫らな姿も…。
ふいに凪子は美しい面に、冷え冷えとした冷酷な表情を浮かべ、名刺の角をランプの灯に当てる。
名刺はあっと言う間に炎に包まれ、見る見る内に黒く焼け焦げ、やがては凪子が放ったベネチアンガラスの器で灰と化した。
それを最後まで見届けると、凪子はランプの灯りをそっと吹き消し、ベッドへと戻っていったのだった。
