君が桜のころ
第1章 雛祭り
茫然と窓の外を見つめる春翔に、背後で皐月が溜息をつく。
「…あれほどいけませんと申し上げましたのに…」
「…ど、どうしよう!皐月!」
春翔は皐月に縋り付く。
「完璧に嫌われたよね、僕…」
「完璧に嫌われましたね、春翔坊っちゃま」
「皐月〜‼︎」
皐月は噛んで含めるように諭す。
「…綾佳様は今まで坊っちゃまの周りにいらしたお嬢様方とはご性格も何もかも全く違います。…あれほどお美しいお嬢様ですから、女好きな坊っちゃまの食指が動かれるのは無理ないとは思いますが…」
春翔は憤慨する。
「おい!人聞きの悪い言い方をするな!」
「…悪いことは申しません。お諦めなさいませ」
皐月は半ば憐れむように告げると、膝を折ってお辞儀をし、そのまま部屋を出た。
「…そんな…嫌われたままもう会えないなんて嫌だよ〜‼︎綾佳ちゃ〜ん‼︎」
春翔は窓硝子に手を押し当て、叫んだ。
…もう綾佳の姿は、影も形もなかった。
「…あれほどいけませんと申し上げましたのに…」
「…ど、どうしよう!皐月!」
春翔は皐月に縋り付く。
「完璧に嫌われたよね、僕…」
「完璧に嫌われましたね、春翔坊っちゃま」
「皐月〜‼︎」
皐月は噛んで含めるように諭す。
「…綾佳様は今まで坊っちゃまの周りにいらしたお嬢様方とはご性格も何もかも全く違います。…あれほどお美しいお嬢様ですから、女好きな坊っちゃまの食指が動かれるのは無理ないとは思いますが…」
春翔は憤慨する。
「おい!人聞きの悪い言い方をするな!」
「…悪いことは申しません。お諦めなさいませ」
皐月は半ば憐れむように告げると、膝を折ってお辞儀をし、そのまま部屋を出た。
「…そんな…嫌われたままもう会えないなんて嫌だよ〜‼︎綾佳ちゃ〜ん‼︎」
春翔は窓硝子に手を押し当て、叫んだ。
…もう綾佳の姿は、影も形もなかった。