君が桜のころ
第1章 雛祭り
数日後、春翔は堂々と母屋の渡り廊下を麻乃に案内されながら歩いていた。
春翔はにやにやしながら麻乃に声をかける。
「麻乃、悪いね」
麻乃が苦虫を噛み潰したような顔で答える。
「…いいえ、春翔様」
「綾佳ちゃんが僕とお友達になってくれたからね」
麻乃がジロリと睨む。
「…失礼ながら…どういう手をお使いになったのですか?…あのお人見知りの激しい綾佳様が殿方を離れにご招待されるなど…」
「それは、僕の人格を認めて…じゃないかなあ?」
「それだけはございませんわね」
麻乃がきっぱりと首を振り、つんとした表情を取り戻し前を行く。
「…ちょっ…!なんだよ、全く…」
春翔はムッとしながらも、綾佳に正式に認められた嬉しさに麻乃の辛辣ぶりもたいして気にはならず、麻乃を追い越し1人で離れの客間に向った。
「…あ!…春翔様!お待ちくださいませ!」
春翔は振り返り、にやりと笑う。
「僕1人で行けるよ。…お年寄りは労らなきゃね、麻乃はゆっくり休んでいて」
それを聞くなり、麻乃は眉を吊り上げながら猛然と春翔を追い抜かしてゆく。
「あ!ババア…!」
「ババアではなく麻乃ですッ!」
2人のデッドヒートは客間に着くまで続いたのだった。
春翔はにやにやしながら麻乃に声をかける。
「麻乃、悪いね」
麻乃が苦虫を噛み潰したような顔で答える。
「…いいえ、春翔様」
「綾佳ちゃんが僕とお友達になってくれたからね」
麻乃がジロリと睨む。
「…失礼ながら…どういう手をお使いになったのですか?…あのお人見知りの激しい綾佳様が殿方を離れにご招待されるなど…」
「それは、僕の人格を認めて…じゃないかなあ?」
「それだけはございませんわね」
麻乃がきっぱりと首を振り、つんとした表情を取り戻し前を行く。
「…ちょっ…!なんだよ、全く…」
春翔はムッとしながらも、綾佳に正式に認められた嬉しさに麻乃の辛辣ぶりもたいして気にはならず、麻乃を追い越し1人で離れの客間に向った。
「…あ!…春翔様!お待ちくださいませ!」
春翔は振り返り、にやりと笑う。
「僕1人で行けるよ。…お年寄りは労らなきゃね、麻乃はゆっくり休んでいて」
それを聞くなり、麻乃は眉を吊り上げながら猛然と春翔を追い抜かしてゆく。
「あ!ババア…!」
「ババアではなく麻乃ですッ!」
2人のデッドヒートは客間に着くまで続いたのだった。