蜘蛛♠
第3章 アルバイト
坂本はそれを呆然と見つめた。
「えっ?………なぁ、恭介!あの子今、目が悪い事に気づくのに凄い時間かかってたけど……10秒ぐらい何を見てたの?」
「あはは、気にしないでください。あの子天然なんですよ。しかも最強クラスの。でもすごくいい子ですよ」
すると眼鏡を見つけたのか、架純がテクテクと二人の元に戻ってきた。
眼鏡をかけた架純は、より幼さが際立ち、巨乳がさらに強調されている。
人々はこれをロリ巨乳と言うのだろう。
「すいません!恭介さん、もっかい見せて~」
架純は恭介から招待状を再び受け取った。
「これって………もしかして………」
何かに気付いたのか架純は本棚の方に移動した。
恭介と坂本の視線を気にすることもなく、架純は夢中で漫画本をあさり始める。
「やっぱし!!!!!恭介さんこれです!!!これ見てください!!」
一冊の漫画を手に取り、架純は二人の元に戻ってきた。
「この招待状の最後の所を見てください。幻影旅団!!その横に蜘蛛の絵文字が書いてあります。これってこの漫画に出てきてる旅団と全く同じじゃないですか」
差し出された漫画本に恭介と坂本は目をやった。
それは週間少年誌で連載されている『フンター×フンター』と言われる、そこそこ人気のある漫画だった。
「確かに!!!そういやそうだ!!!」
漫画の持ち主である恭介が大きく声をあげた。
「あ~、それなら俺も知ってるわ。て言うか結構好き」
続いて坂本。
すると、架純は腕を組み天井を見ながら推測した。
「おそらくこの招待状を出した人物は、この漫画の事が少なからず好きな人物。
そして見てください!!
この封筒には切手が貼ってありません。
ということは直接坂本さんの家のポストに投函された………。
そして、尚且つ坂本さんの名前を知っている人間です!」
坂本は「あ……あ~、そうだと思う」
若干、苦笑いで答えた。
架純は続けた。
「そして、この招待状がポストに投函されたのはおそらく今日。
坂本さんが招待されてる日も今日の23時。
これは坂本さんに考えさせる時間を与えない為。
そうです!普通ならこう考えるんです!!」
まるで探偵のように語り出す架純に、坂本はうろたえだした。