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蜘蛛♠

第3章 アルバイト

【第8話】


坂本の思いもよらない発言に恭介と架純は言葉を失った。
恭介の顔が焦り出す。
よりによって架純が隣にいるときに、あなたはいったい何を言ってるんだ。
「えっ?何言ってんすか坂本さん!意味わかんないっすよ」

するとすかさず坂本は
「いや、だから~~、一緒にこれ覗いて10万円もらおうよ~。セックスも見れてお金も貰えるなんて、こんなおいしい話ないじゃん!」

いや、言ってる意味はわかるけど、なんで架純がいる時に言うんだあなたは。
アホなのか?いや、アホなのは知ってたけどまさかここまで………
いや、そもそもなんで俺の周りにはおかしなやつが集まるんだ。
架純といい坂本さんといい、他にももろもろと………
そういう星の生まれなのか?
恭介の頭の中がグルグルと回転する。

「いや、ですから~……」
言いかけた恭介の言葉を架純が遮った。
「やめてくださいっ!!恭介さんはそんな事する人じゃありません!!それに一人で来ること!ってこの紙に書いてあるじゃないですか!」
架純は恭介の隣に行き、かばうように言った。
恭介の表情に安堵のいろがよみがえった。

「マジかぁ~~………」
落胆する坂本。
何かを思い詰めるようにその場をウロウロと歩き始めた。

恭介は架純にいれてもらったらコーヒーを飲み心を落ち着かせた。
若干冷めてきている。
「坂本さん!これ危ないッスよ!!ただのイタズラで、行ってみて何もなかったで済めばいいっすけど、万が一暴力団とか絡んでたらどうすんすか?」

「えっ…………暴力団???」
恭介の脅しのような発言に坂本が振り返った。

「そうっスよ!10万円貰えるどころか、怖い兄さんたちがでて来て、ボコボコにされたあげくお金を巻き上げられる。なくもないと思うんすけど…」

「ええぇぇ!!!怖いですぅぅ」
架純が怯えるように言った。

若干動揺する坂本。
そこまで深く考えていなかった。
「暴力団……かぁ……。でもなぁ…、どうしようかなぁ。一人で行こうかなぁ……」

行きたかった。坂本はどうしても行きたかった。
彼女とはもはやマンネリ生活に入っている。彼女以外の女体というものを、ここ数年拝んでいない。
おかげで性欲は増すばかり。そればかりか彼女は金食い虫だ。
彼女と付き合って、坂本の貯金の大半は食われてしまっていた。風俗に行くにももちろんお金がない。

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