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蜘蛛♠

第3章 アルバイト


すると架純、
「ダメです!!坂本さんはもう私達を巻き込んじゃったんです!坂本さんも男なら、ここは意を決してコインの判断に身を委ねたらどうですか?その方が絶対かっこいいですよ!!!」

坂本の動きか止まった。
「えっ………かっこいい??お……俺って、かっこいい?」

「えっ…、あっ、いや、そうじゃなくてですね~」

「マジかぁ!!やっぱし俺ってかっこいいのかぁ!!いや、知ってたけど~!!マジ知ってたけど~!!」
坂本は鏡を取りだし前髪を整えだす。

まるで訳がわからない架純。
「えっ?えっ?えっ………?あっ…………!!!はっ、はい!!坂本さん凄くかっこいいです~!!!前髪凄く決まってますぅ!!!なんか凄く眩しいです~!!!」

「マジかぁ~~!!!よしわかった!!!!コインで決める!!この先の俺の人生コインで決める♪オー♪オー♪そんな俺マジイケメン~♪」
なぜかラップ調に坂本が歌いだした。

架純は見事に坂本の弱点をついた。その光景を見ていた恭介は苦笑いを浮かべている。
さらに調子づく坂本は恭介の肩に手をおいた。
「恭介!!お前も男ならコインで決めるぞ!!!俺のようにかっこよくなれ!!!」
もはや坂本は架純の術中に深くはまってしまっている。
ここで否定した場合、悪者になるのは確実に自分だ。
架純は頭がいいのか悪いのか。バカと天才は紙一重なのか。恭介は未だにわからずにいた。

「わかりました。やりましょうコイントス!!」
間を置いて恭介は答えた。もはやどうにもならない。
「表」が出ることを祈るしかない。

「じゃ~決まりですね~!!確認です!表が出たら、招待状の事は忘れて坂本さんはここで待機です!裏が出たら、坂本さんは一人で現場に行って下さい!いいですね~?」
架純は100円玉を親指に乗せた。
恨みっこなしの一発勝負。息を呑む3人。
3度、深呼吸をしたあと架純は大きく親指を弾いた。
人生をかけた100円玉がクルクルと回転し宙を舞う。
素早く掴み取り架純は左腕に右手を伏せた。
再び息を呑む3人。
「表」か「裏」か………………
「表」なら坂本は何事もなく平和な一日が終わる。招待状という存在すら無かった事に。
どうか「表」よ出てくれ………
恭介は深く願った。

架純はゆっくりと右手を離した。
コインの行方は……………………。



「裏」だ。


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