蜘蛛♠
第4章 誤算
圭ちゃまという言葉にはあえて触れず、川澄はM奈の後ろ姿を観察した。
ミニスカートと金に近い髪色が、絶妙に色っぽさを増幅させている。デリへルを呼んで、もしM奈が来たら確実に当たりの分類だ。
だが、今日の川澄の「女体スカウター」は、通常よりも高い数値をたたきだしてしまう。
なぜなら、今日の日の為に精子を1週間溜め込んでいたのだ。
全てはS子の為。
このミッションを成功させる為。
より高いアドレナリンを放出させる為だけに………
そうこうしているうちに、二人は101号室の前たどり着いた。
当たり前だが101号室は角の部屋にあった。
するとM奈が「あっ、汚いけど気にしないでね~♪」と相変わらずの声量を発しドアを開けた。
いや、ここはお前の部屋じゃないだろ。
思うだけに留め、川澄は玄関の中へと入っていく。
予想以上に広い玄関。
なかなかいい部屋に住んでいるようだ。
入って左手に下駄箱、その上に幾つかの写真立てが飾られている。
全てS子と子供達の写真だろうか。たしか小学生の男の子が、二人いると言っていたのを思い出した。
写真に写るS子達はとても幸せそうに笑っている。
玄関からはまっすぐ廊下が続き、おそらくその先に部屋が何部屋かあると予想した。