蜘蛛♠
第4章 誤算
「と思ったらあんまし汚くないね~!!さすがS子!!私の家とは大違い~!!フハハハ~!!」
言いながらM奈は鍵を閉めた。
鍵??
閉めて大丈夫なのか?S子は鍵を持参しているのだろうか?
などと考えていると、川澄の唇に突然何かが触れた。
驚きを隠せず見開く瞳孔。思わず体勢を崩し下駄箱に背中をぶつける。
思考が止まった。
川澄の唇に触れた謎の物体。
それは紛れもなく、M奈の柔らかい唇!!
!!!!!!!!!!!!
何が起きてる!!??
脳が停止したまま、川澄はM奈を突き放した。
同時に香水の匂いが鼻腔を強く刺激した。
「ど………どうしたいきなり…………!!」
「フハハッ!!圭ちゃん可愛い♪顔赤くなってる~♪大丈夫♪S子には内緒にしとくから♪」
金色の髪を右手でふりのけ、再びM奈の唇が重る。
それどころか、
今度は激しく舌を絡ませてきた。
体勢を崩した川澄とM奈の体が、糸の切れた操り人形のように廊下に放り出された。
下駄箱の上の写真立てがいくつか倒れる音がした。
倒れた川澄の上に馬乗りになるM奈。
瞬時に川澄の両腕を、その小さな手で押さえつける。
目の前にあるM奈の顔。その距離10センチも満たない。
ここにきてやっと状況を把握した川澄。予想外の展開に川澄の脳内コンピューターは危うくフリーズするところだった。
すると、顔を赤らめてM奈が言った。
「ねぇ………。セックスしよ」