蜘蛛♠
第4章 誤算
M奈の思いもよらぬ発言に、川澄は耳を疑った。
今何と言った??セックスと言ったのか?
確かにセックスと言った気がする。
念のために一度聞き返した。
「えっ…………???」
「だから~圭ちゃま~♪私と~セックスしよ♪嫌なの~~?」
間違いない。
間違いなくM奈はセックスを誘っている。この展開は全くもって予想していなかった。
以前、アダルトビデオで「出会って◯秒で合体」という企画物のシリーズがあったのを思い出した。
これではまるでその通りではないか。あれはやらせの企画なはずだ。だが、今それは現実にここで起ころうとしている。
「えっ……セックス??ど………どこで?」
「ここでだよ圭ちゃま♪早く脱いで」
M奈の小さな手が川澄の両手から離れた。
かと思いきや川澄の股間に右手を添えるM奈。
「圭ちゃま立ってるよ~♪ビンビンだよ~♪可愛いなぁ~」
川澄の肉棒を服の上から上下に摩りだした。
ビンビンに立つのも無理はない。
今日のミッションの為に10日間も精子を出していないのだから。
相手が誰であろうと、この状況は川澄のドM心を強く刺激してしまう。
M奈が川澄の耳元で小さく呟く。
「おチンチン、舐めてあげよっか?」
言いながらベルトを外しにかかるM奈。
まずい!!!
これは非常にまずい事態だ!!!
ここで精子を出すわけにはいかない。なんの為に10日間も精子を溜めたんだ。
全てはS子の為に!!S子の能力を盗むために!!!より高い興奮を味わう為に!!!
ここで精子を出してしまっては、この先アドレナリンは恐らく出ない。いや、この計画そのものが無意味になってしまう。
だがこの状況、このシチュエーション、全てがお金で買えない価値がある。もはや普通のセックスに飽きている川澄にとって、この状況は願ってもない好機といえた。
だが、それでも今はまずい。幻影旅団の団長として、計画を自ら崩す訳にはいかない。