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好き心少なからず

第16章 近付きたい~曽根崎×速水~

開いた窓からそよぐ風が、肩先で切り揃えられた黒髪をさらりと揺らした。

けれど…余程面白い本なんだろうか?

目線は本を辿ったまま、微動だにしない。

またか。

ってか、いつもの風景だな。

目を細めると、カウンターで返却手続きをとった。

さて、と。

何か借りていくか、どうするか。

本を探すふりをして、速水に近付いた。

何て本を読んでんだ?

本のタイトルが読める位置まで近付いて、その題名に覚えがあった。

あ、読んだことあるミステリーだ。

だけど内容が思い出せない。

物理学者の話…だよな?

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