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好き心少なからず

第16章 近付きたい~曽根崎×速水~

あの頃の速水は、古典物とか、時代小説みたいな小難しいものばっかり読んでた。

だから、本の話なんて出来るような雰囲気はまるで無かったんだが。

今なら、声をかけるチャンスかもしれない。

よし、と心の中で気合いをいれて、速水に近付いて行った。

「よぉ、速水。久しぶりだな」

ぴくりと肩が動いた。

ゆっくりした動作で顔を上げると、俺を見て、ちょっとした間のあと

「あ…曽根崎くん」

何で?と言いたげに、瞬きを繰り返してる。

「借りた本、返しに来たところ」

「あ…そうなんだ」

じっと見つめられて、言葉が上手く出てこない。

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