マジカル☆ステッキ
第4章 精霊ルークス
「平民の分際で俺に楯突くつもりか?」
穏やかな陽気、晴々とした青空のもと乗合馬車の店先だけに、どんよりとした空気が流れる。
この国ではいまだに身分による差別が残る。
平民というだけで、貴族たちは自分たちと同じ人種だと思っていない。
たとえ間違いであってもそれがまかり通るのだ。
「お客様、揉め事は困ります。乗合馬車のご用意はすぐにできますので」
全身に冷や汗を垂らすのは乗合馬車の亭主。
貴族に逆らえば罪に囚われることもある。
厄介者払いするかのように亭主は、アリサを乗合馬車へとすすめる。