マジカル☆ステッキ
第4章 精霊ルークス
「勇者であれば、平民だろうと勇者専用車に乗れるんでしょ? なら、何も問題はないはず。それを拒否するのならアナタが妥協するべきよ」
「お、お客様……」
今にもに倒れそうなほどか弱い声を震わせ、亭主の表情は青ざめてゆく。
貴族に正論を言ったところで無駄。
それをわかったうえで亭主は穏便にことを済ませたい。それなのにアリサは亭主の気持ちを裏切る。
「もう、やめておけ。俺たちが後から行けばいいだけのことだ」
アリサの無礼に堪らず口を割ったのは勇者ハヤト。
もちろん勇者ハヤトは、貴族に屈したわけではなく倒れそうな亭主を庇ってのことだ。