マジカル☆ステッキ
第4章 精霊ルークス
「やめろよ!」
それまでオドオドしていたヨシヒロは、アリサの前に出て大きく叫んだ。
さすがの喧騒に周りの人々も立ち止まり、どよめきが広がる。
「どけ、庇うとお前も同罪だぞ」
「人に剣を向けたらいけないんだぞ! 悪いのはお前のほうだ」
「人ならばな。しかしよく見れば珍しい瞳の色をしている。髪も同様……魔物が人に化けているのだよ」
周りがざわめきはじめ、オルスタンの言葉に街の人々もアリサに注目をする。
オルスタンから逸らすことのない双眼は黒緋色、この世界では珍しい色であることは本当だった。
街の人からもよく見える髪は、肩よりやや短めに揃えられ赤毛というよりは緋色だ。
珍しいと言えばそうなのではあるが、魔法使いの中には赤系統の髪の人もいなくはない。